タクシー運転手に必要な二種免許とは？取得方法・費用・キャリアまで徹底解説

二種免許は旅客を有料で運ぶために欠かせない資格ですが、条件や試験内容、費用の相場まで情報がバラバラで分かりにくいのが現実。

本記事では、未経験から二種免許を取得するまでの流れをわかりやすく整理し、費用を抑えるコツや取得後のキャリアパスまで解説します。

まずは全体像を押さえて、あなたに最適な取得ルートを見つけていきましょう。

タクシー運転手に必須の二種免許とは

一種免許と二種免許の比較表

項目	一種免許	二種免許
運転できる車	普通自動車（自家用車など）	営業用のタクシー・ハイヤー・バスなど
業務範囲	自家用車での運転のみ	旅客を有償で運送する業務が可能
取得条件	18歳以上で運転適性検査に合格すること	原則21歳以上かつ普通免許等の運転経験3年以上（特例教習修了で19歳・経験1年以上でも可）

二種免許の定義と役割

二種免許とは、バスやタクシーなどのように有料で乗客を運ぶために必要な免許のことです。旅客を安全に運ぶ責任があるため、単なる運転技術だけではなく、接客や緊急時の対応など幅広い知識や判断力が求められます。タクシー運転手が法律上この免許を持つ必要があるのは、公共交通機関の一部として乗客の命を預かる存在だからです。

一種免許との違い

一種免許は自家用車や仕事での社用車を運転できる免許ですが、営業用に人を運ぶことはできません。これに対して二種免許は「旅客の輸送」が可能であり、料金を受け取ってタクシーを運転するための大前提となります。

なぜタクシー運転手に二種免許が必要なのか

タクシー運転手は、単に目的地まで運転するだけではなく、交通安全を確保しつつ快適な移動を提供する役割を担います。二種免許を持つことで、法的に有料送迎が認められるだけでなく、運転手自身の信頼性も高まります。加えて、二種免許取得時には応急救護や旅客対応の知識を学ぶため、接客力や緊急対応力を備えたプロとして成長することができます。

タクシー運転手に必要な二種免許を取得するための条件

年齢・運転歴に関する条件

二種免許を受験するには、原則として満21歳以上かつ普通免許取得後3年以上の運転経験が必要です。これは、一定の年齢と実務的な運転経験を積んだうえで旅客を輸送できる力量を担保するための基準です。経験不足のままでは緊急時の判断力や交通安全意識が不十分となるおそれがあるため、この条件が設けられています。

特例教習による受験資格の緩和

2022年の道路交通法改正により、教習所で「特例教習」を修了した場合には、条件が大幅に緩和されました。これにより、以下のように運転経験が短くても二種免許を受験できるようになっています。

項目	従来基準	特例教習修了後の基準
年齢	21歳以上	19歳以上
普通免許の運転経験	3年以上	1年以上

つまり、特例教習を修了すれば、普通免許取得から1年以上の運転歴でも二種免許の受験が可能になります。これは若年層のタクシー運転手不足を補う制度として導入されました。

20代の方は、この制度を活かして早くからタクシー運転手としてキャリアを積むことが可能です。詳しくは「タクシー運転手で20代を充実した毎日へ！新しい働き方を見つけよう」をご覧ください。

視力・聴力・深視力などの身体条件

受験資格には身体的条件も含まれます。両眼で0.8以上かつ片眼で0.5以上の視力が必要で、深視力検査では3回の平均誤差が2cm以内であることが求められます。また、日常会話に支障がない聴力も必須です。これらの基準は、乗客の安全を第一に考えたものであり、タクシー運転手として必要な適性を確認する意味があります。

タクシー運転手に必要な二種免許の取得方法と流れ

教習所でのカリキュラム

二種免許は、指定自動車教習所に通い、学科と技能の両面から学ぶことが基本です。学科では道路交通法や旅客輸送に関するルール、応急救護などを学習し、技能では夜間運転や接客を意識した停車・発進、危険予測など実践的な訓練を受けます。特に一種免許にはない「旅客を想定した運転技術」を身につけることが特徴です。

試験科目と合格基準

二種免許の試験は、学科試験と技能試験に分かれています。学科試験は90%以上の得点率が必要で、技能試験では減点方式によって採点されます。例えば、急ブレーキや合図忘れは大きな減点につながるため、試験では「安全性」と「安定した運転」が重視されます。

自主経路設定と接客マナー

技能試験の特徴として「自主経路設定」があります。これは、指定されたスタート地点からゴール地点まで、自分で経路を考えて走行する方式です。タクシー運転手としての判断力を試す内容であり、単なる運転操作だけではなく地図の理解力や柔軟な対応が必要です。また、試験では乗客対応を想定した発進・停車、ドアサービスなども重視され、接客マナーが評価の一部となっています。

合格後の流れと免許交付

試験に合格すると、公安委員会を通じて正式に二種免許が交付されます。免許証の更新期間は一種と同じく通常3年または5年で、更新時には講習や適性検査を受け、違反歴や健康状態に応じて有効期間が変わります。免許取得後は会社の研修で接客・地理・安全運転を学び、実務に必要なスキルを習得します。

タクシー運転手に必須の二種免許取得にかかる費用相場と内訳

教習所にかかる費用の目安

二種免許取得にかかる費用は、教習所の所在地やプランによって異なりますが、概ね25万円～40万円前後が一般的です。合宿プランを利用すれば費用を抑えられるケースもあり、最短で2週間程度で卒業可能な場合もあります。費用を比較する際は「追加料金込みか」「技能検定の補習費用は含まれるか」を確認しておくことが大切です。

※会社負担で取得できるケースも少なくありません。

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費用の内訳

二種免許の費用には、学科授業料、技能教習料、各種試験料、教材費などが含まれています。代表的な内訳は以下の通りです。

このように、費用の大部分を占めるのは技能教習であり、合格までに補習が必要になると追加費用が発生することもあります。

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費用を抑えるための工夫

二種免許の取得費用を抑えるには、合宿免許を利用する方法や、タクシー会社の「取得費用補助制度」を活用する方法があります。大手タクシー会社では、入社希望者に対して二種免許取得費用を会社が全額負担する制度を設けている場合もあります。

特に未経験者を歓迎する会社では、この制度を活用することで自己負担ゼロで免許を取得できるチャンスがあります。
ただ、会社負担が適用されるには条件があることが多いため、就職をお考えであれば事前にリサーチ・確認しておくことをお勧めします。

一般タクシー運転手としてのキャリア

二種免許を取得すると、まず多くの人がスタートするのは一般タクシー運転手としての仕事です。街中での流し営業や、配車アプリを利用した送迎など、日々の乗務を通じて幅広いお客様と接することができます。勤務スタイルも日勤・夜勤・隔日勤務など多様で、自分の生活に合わせやすいのが魅力です。安定した収入を得ながら接客経験を積み、地域に密着したプロドライバーとして成長できるのが特徴です。

観光・介護・キッズ・ハイヤーなどの専門分野での活躍

一定の経験を積むと、観光タクシーや介護送迎、キッズタクシー、法人向けのハイヤーサービスといった専門分野での活躍も可能です。特に日本交通グループでは、専門的なサービスを担う「エキスパート・ドライバー・サービス（EDS）」を展開しており、お客様のライフステージに寄り添った移動を支えています。

このように、専門分野でのスキルを磨くことで、タクシー運転手としての付加価値を高めることができます。

将来的に個人タクシーを開業するための条件

長期的なキャリアの選択肢として「個人タクシーの開業」があります。個人タクシーは自由度が高く、働き方や収入を自分でコントロールできるのが特徴です。開業には国の定める要件を満たす必要があり、一般的にはタクシー運転手として10年以上の経験や、無事故・無違反での乗務実績が求められます。条件をクリアしたうえで独立を目指すことで、さらなるキャリアアップが可能になります。

日本交通グループとの 業務提携 により、「桜にN」ブランドの「日交個人タクシー」として独立するという選択肢もあります。業務提携によって、個人事業主として独立したあとも、日本交通の営業基盤・信頼ブランドを引き継げるのが大きなメリットです。

 詳しくはこちらをご覧ください。

まとめ｜タクシー運転手に必要な二種免許取得で広がるキャリアと未来

二種免許はタクシー運転手として働くために欠かせない資格であり、取得することで一般乗務から観光・介護・キッズといった専門分野、さらには個人タクシーの独立まで多様なキャリアが広がります。2022年の道路交通法改正により、普通免許取得から1年以上でも条件を満たせば受験可能となり、若い世代にとっても新たな挑戦がしやすくなりました。

費用面での不安もありますが、多くのタクシー会社では免許取得費用を支援する制度が整っており、安心して一歩を踏み出すことができます。